一日一善と三膳

一日一善と三膳を通して世界とおれを幸せにする

週末を台無しにしないためにおれは泣いた

Ads by Google

3月に母が上京してくる。孫に会うために。

 

先日日程のことで母から電話があり、その時におれは嫁に言った。「XX日からXX日に母親がくるから、その時は実家には帰らないでね。」嫁はおれの方をろくに見ることもせずに「うん」と言ったので「その時になって聞いてないとか、帰るとか言い出すの無しだから!」とおれは吐き捨てた。その時はそれで終わっていた。

 

そして、今日。午前10時頃に嫁が食器を洗いながら「XX日にお義母さん来るんだよね?」と言ってきた。おれは「うん」と答えた。すると嫁が「みゆきちゃんが来るんだけど、」と言った瞬間におれは「は?何言ってんの?だから母親がXX日に来るって言ってんじゃん!」と言った。

 

そしたらそこから激しい言い争いになった。激しい言い争いの末、嫁はおれの顔面を殴り、笑っていた。その一発のおかげで、一度言い争いが終わり、嫁は娘を連れて病院に行き、おれは家で食事を作って待つことにした。そして、おれは豚丼を作りながら、いつも通り、謝ることを決意した。

 

何故なら、土曜日の午前11時だったからだ。嫁から謝ってくるとか、歩み寄ってくることなど、絶対に有り得ない。(おれは普段’絶対’という言葉を意識的に使用しないようにしているが、ここではあえて、絶対と言う)だからおれが謝らなければ、土曜日の午後、そして日曜日終日、下手をすれば水曜日くらいまで会話がないまま過ごすことになってしまうのだ。それは嫌だ。

 

一旦謝ると決めたなら、嫁に何を言われようとも、反論、またはそれに類似する言動は行うべきではない。とにかく「はい」「ごめんね」「おれが悪かった」と言い続けるしかないのだ。これは想像するよりも遥かに難しい。目の前で、普段よりも1トーン高い声で一方的に責められ続けるのだ。まともに聞いていたのでは精神が崩壊しそうにすらなる。

おれはいつからか、嫁の目をじっと見つめながら、内容を全く聞かずに、然るべきタイミングで相槌をうつと言う特殊な能力が身についてしまった。

 

そしておれは今日もいつものようにその特殊能力を使って、嫁の目をじっと見つめながら、ただ相槌を打っていたのだけれど、なぜか今日は自然と涙が溢れてしまっていた。その理由は自分でもわからないのだけれど、今こうして考えてみると、その涙がおそらくそのタイミングで必要な相槌の一つであったと言うことと、やはり精神が少しおかしくなってしまっていたのだと思う。

 

しかしながら、その涙のおかげで、今はまともに会話ができるところまで戻った。

 

おれはもはや、今日の一連の出来事が何らかのプレイのようにさえ思えてきてしまっている。こういう出来事は無い方が良いに決まっているのだけれど、一度激昂した嫁をなだめた後に笑顔になって貰った時、おれは射精にも似た感覚を感じてしまっている。

 

もし今晩嫁を抱けたなら、おれはいつもよりも激しく射精することができるのだと思う。

 

今から嫁を誘ってみようと思う。