一日一善と三膳

一日一善と三膳を通して世界とおれを幸せにする

【深夜シリーズ】どうしても捨てたい物がある2 ~米と野菜とDVCカメラ~

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前回こんな記事を書いた。これの続きだ。

 

実家から米と野菜とともに、DVCカメラが届いた。そして嫁がいないことを良いことに、おれはアディダスの箱の中から例のDVCテープ2本を引っ張り出してきて、観た。

 

いかにも素人が撮影したそれだった。見所は、自分の体の引き締まっている様と、キレのある動き。そして積極性と恥じらいが見事に調和している深雪の体の動かし方。

 

ただ、おれはその最中の映像よりも、二人がベッドの上に座って話している場面の方が面白かった。他愛もない会話だけど、10年前の自分が見れて楽しかった。

 

おれ「このプリンあんまり味がしないんだけど、気のせいかな」

深雪「疲れてるからじゃない?」

おれ「疲れてないよ。またすぐにだってできるよ」

深雪「嘘つき。できないの知ってるよ」

おれ「そうだね。一回眠れば多分できるんだけどね」

深雪「隆史君は7回連続でできるんだって絵美が言ってた」

おれ「もう少し若ければ、おれだってさ」

深雪「いや、今何歳だよ」

 

深雪がおれのカップからプリンをすくって食べているのを見届けて、おれはイヤホンを耳から外してDVCカメラの電源を落とした。

 

これでおれは未練なくDVCテープ2本を処分することができる。肩の荷が降りた。

 

おれは次の日にテープの部分を引っ張り出して鯖缶の中で燃やした。チリチリと燃えるテープを見ながら深雪のことを少しだけ思い出してみようとしたけど、雨が降っていて、頭が痛かったので、煙草を吸いながらぼーっとしただけだった。

 

燃え切ったテープに水をかけて、鯖缶が冷めていることを確認して缶から固まりになったテープを出して、ごみ捨て場に他のゴミと一緒に捨ててきた。肩の荷が降りたのと一緒に頭痛も止まってくれと思ったが、そううまくはいかなかった。

 

おれは湯船にいつもより1だけ熱いお湯を張り、30分ほど浸かり、湯上りに一口だけ冷蔵庫に入れていた大吟醸を飲んで、ベッドに行ってすぐに眠った。

 

翌朝目覚めておれは1つの結論を導き出すことができた。

 

おれは、素人ものが、好きだ。

(執筆時間46分)

 

918日月曜日 晴れ。暑い。また夏が来たみたいだ。

朝 ごはん、目玉焼き、ウィンナー、きゃらふき

昼 ごはん、好餃子、にら餃子、しそ餃子、キムチ

夜 ごはん、目玉焼きハンバーグ

 

一日三膳。ごちそうさまでした。写真は撮影する気分ではなかった。

 

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